NPO法人あいち少年少女センター

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PARTⅡ 少年団で育つ子どもたちの姿

エピソード7

暁子(高校1年生)の語り 「無気力人間だった私に新しい気持ちをおこしてくれたもの」

15歳の暁子。高校一年生である。この半年間、自分の中にふくれ上がってきた思いがあった。
「夏を終えて、今、私は…」
彼女はどんな中学時代を送ってきたのだろうか。
彼女は語る。

”もう どうでもいいや”――中学時代
中学時代。何も熱中するものがなくて、知らないうちに三年生になって、自覚しないうちにまわりから“"受験”、“高校入試”のことばを投げつけられ、どっさりと問題集を渡され、“もうどうでもいいや…”と思った。
だから、受験の勉強もしなかったし授業も集中しなかったという。
高校なんかどうでもいいといった感じ。髪の毛を染めたりもしたという。

少年団と出会う
なんとか受験を終えた春休みに、親せきのおばさんから「少年団の指導員やってくれない」とたのまれ、気軽な気持ちで、少年団の親や子どもたちと出会う。
その少年団から多くのことを学び、友達もたくさんできた。
少年団の仲間が、あの無気力人間の私に新しい気持ちをおこしてくれた。そこで今度は本気で「指導員をやらなくちゃあ」と決意した。

毎日会議
リーダー合宿が終った時、“山つど”の話がでてきた。
センターの最大の行事だそうで、もちろん私の興味をそそった。
ふつうのキャンプかと思えば、ものすごい会議が続くし、特に夏休みに入ってからはほとんど毎日会議で目が回った。
でも今まで14回夏を過ごしてきたが、あたしの記憶ではそれらのほとんどがダラダラと過ぎていって、夏休み明けには宿題と反省が山とつまれていた。
今年の15回目の夏休みはものすごくいそがしかった。ものすごくいそがしかったけどそれを苦痛とは感じなくて、むしろ楽しくうれしく充実していた。

人生を変えるほどの感動
山つどにはじめて参加する不安などはみじんもなくて、ただ期待とわくわくした興奮だけが胸の中をかけまわっていた。
山つどはそんなあたしの期待にじゅうぶんすぎるほど、こたえてくれ、あたしといえば、みんなとの別れ際、8月7日の夕方名古屋訳の国鉄南口では、翌朝まぶたが開かなくなるほど号泣した。
本当に感動した。"感動"というひと事でかたづけたくないほどだった。
少年団で参加した子どもたちも山つどから帰ってきてかわっていた。
もちろんたいへんすばらしく。

忘れたくない夏休み
夏休みが終わり、たしかに例年どおり宿題がしっかりたまっていたが、夏休みにはあれもしたかった、これもしたかった、ああすればよかった、こうすればよかったというような反省はほとんどなかった。
だから学校でも自分の過ごした夏休みのすばらしさを得意気にひけらかしたし、今までの中学生活の自分の情けなさをあらためて痛感した。
「……夏を終えて、今私はもっともっと広く深く少年団とつき合いたい。そして、その中でもっと確かな自分を見い出していきたい。
自分の活動が少しでも地域の子どもたちのためになるならこんなにうれしいことはないし、それによって自分自身をも高めることができる。高1の夏休みを私は忘れたくない。
もう二度と中学生時代のような無駄な時間を過したくないから・・・。」

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